婦人科・産科
コラム
「膣炎の話」
世の中では、膣洗浄器や洗浄液が売られていますが、
その効果はいかがなものでしょう。
当院でも洗浄をしているという女性がいらっしゃいますが、
かえって膣炎を助長しているようです。
成熟女性の膣には、自浄作用という精妙な仕組みがあります。
エストロゲン(女性ホルモン)が膣粘膜に作用して、
グリコーゲンを作り、それを餌にして、
Lactobacillusという乳酸菌が膣内に優勢になります。
乳酸菌は膣内をpH4.5以下の酸性に保ってくれて、
病原菌の繁殖を防いでくれます。
これが膣の自浄作用です。膣の洗浄をすると、
せっかく繁殖した乳酸菌が洗い流されてしまい、
かえって感染を助長してしまいます。膣洗浄に疑問を呈する所以です。
そうは言っても膣炎になることはあります。
おりものの色が汚くなったり、
いやな臭いがしたり、かゆみ、痛みが起こったりです。
そんな場合でも自分でする膣洗浄ではなかなか治りません。
産婦人科医の出番です。
膣炎の90%以上は、嫌気性菌の増える細菌性膣症、
カンジダ膣炎、トリコモナス膣炎のいずれかです。
いずれの場合も正しい診断の上で飲み薬で治せます。
細菌性膣症の場合には、悪玉菌(嫌気性菌)のみやっつけて、
善玉菌(乳酸菌)には作用しないという都合の良い薬があります。
自分での膣洗浄は控えた方が無難のようです。





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